一番苦手が、得意で好きに

ある浪人生がいて、その子は英語が中学から苦手でいつも足を引っ張っていた。親にも塾に入るとき英語がどうしても苦手で伸びないのでといわれた。

塾を長くやっているとなぜ伸びないのか教科ごとにだいたい分かる。英語は当たり前だが単語と文法を最初に徹底的に覚えさせると伸びる。また中学分野からやらないと伸びない。中学の英語の基本ができていないと高校の英語をがんばったところで伸びは少ない。

単語を覚えていないのが伸びない一番の理由だったが、パソコンを使って反復をさせながら、単語と文法レベルを上げながらしつこくさせた。難易度の高い単語は、書いて発音して覚えさせた。そしたら本人曰く英語が面白くなったと言う。どうしてと聞いたら、英語が分かるし読めるようになって楽しくなったと言う。

自分が、英語が一番得意科目に変わるかもしれないぞと前から言っていた。模擬試験があり、得意の数学の偏差値より高かった。本人が驚いていた。6年以上やってぜんぜん伸びないのが、半年足らずで大化けしたわけだ。

基礎を十分入れ込んで、何度も何度も繰り返し基礎を入れ込めば短期間でも相当伸びるのだが、こういう基礎のいれこみ作業を本を読んだり書いてる学習のやり方でやると凡人は、だいたい続かない。苦手科目なんて簡単に克服できるものではない。自分も体験しているし、塾生見ていてもよく分かる。ただある程度集中した時間は必要だ。

そもそも学習のやり方が、基礎の入れ込みと問題演習とが分離していないから、長く教育を受けていても、ろくな学力がつかないのだと思う。基礎なのか演習なのかわけが分からなくなっているのだ。しかも絶対的に反復がたりないひとが多い。覚えのいい人間と根性がある人間でないと生き残れない仕組みの学習にになっている。

高校分野など教科書を何度も何度も読まないと理解できないのが普通だろうと思う。教科書とか基礎を、丁寧に教えてもらい反復する過程が欠落して、どうして学力とか学習の面白さが分かるのだろうか。

子供たちの側も自分の目標や将来のこととかしっかりとしたものがほしい。主体性がないというより育っていない子が多い。これでは、指導する方も伸ばせない。教育は、指導する側とされる側の共同作業の面があるからだ。お互いの向上心と信頼関係がないとむつかしい。

塾生で時々ニコニコしながら学習する子がいる。またうなずきながら感動したようにやる子がいる。そういう子は、とんでもなくできる子が多い。彼らは、楽しんで学習をしている。

学習のやり方というより学力の伸び方が分かれば、そして実行すればいやでも伸びる。そろそろ竹やり式から鉄砲ぐらいには学習方法も進化したほうがいいと思う。反復のない学習は、凡人は身につかない。

苦手科目は、基礎の入れ込みさえできれば、得意科目に化ける可能性はいくらでもあると思う。