原点に戻る。

塾をはじめて今年で30年になる。それだけ年を取ったことになる。塾を始めた頃は、若かった。当たり前だ。授業が好きで、面白おかしく教えていて自分でも教えるのが好きで適性があると思っていた。 だからその頃職業としての認知度も低い塾経営もためらわず選んだ。

その頃は、子供と夏になれば、バスを借り切って、塾生と海に行ったり、川に泳ぎに行ったりもした。、今でも塾生が勉強より、ラーメンを食べさせてもらったの、塾生の記憶の中にあるのは、勉強より、何を食べさせてもらったとかそういう話が出てくる。飲みに出ると塾長と声がかかることがある。覚えてる塾生もいるが、いきなり20年以上前の子供から、声を掛けられても、顔も名前も記憶の外にあることが多い。そういう時は、うまくごまかそうとするが、ばか正直のせいか気まずいことになったりもする。塾生でも出世して、弁護士や社長や医者になっているのもいるが、今でも付き合いの多いのは、どちらかというとオチこぼれた方の人間だ。

塾をやっているのは、どうしてかと言われれば、エリートを育てることでもない。ただ、学習のやり方にこだわってきたからだ。自分も決して受験の成功者でもないし、分からない苦しさも味わった。だから、学習のハードルを低くし、誰でも伸ばす方法は、ないものかと模索してしてきただけだ。考えるということは、疑問を持つことだと思う。これでいいのだろうか。そういう思いを続けられる限りは、塾を続けたいと思う。