早朝、『シュトーレン』を買いに市内の有名パン屋さんへ。
シュトーレンとは、クリスマスにかけて食していく、伝統的なドイツの菓子パンのことで、
生地には、おもに干しブドウやナッツ、また洋酒漬けされたドライフルーツなどがミックスされ、表面にはたっぷりの砂糖。
砂糖やミックスされたものの風味が、日に日に、生地に沁み、溶け込んでいく。
長いものでは3か月、日持ちするそうだ。少しずつ日ごとに変わる味を楽しむものでもあり、
クリスマスや年の瀬に向け、家族友人と幾度もティータイムを重ねていく、その意味の楽しみも味わえると思う。
シュトーレンの話はこのくらいにして。
その時、他のパンが美味しそうで、いくつも買ってしまった。
そのうち一つをイートイン。珈琲がサービスになっていて、1杯戴いた。
すると、前のテーブルに60代くらいの男性がみえた。
しばらくして話し声だけが耳に入ってきたので気づいた。その男性の向かいにはご年配の女性が座っていた。その時親子だと気づいた。
「1日いちにちを大切にせんと、な」
ハッとして見たら、食べ終わったような雰囲気だった。息子さんと思う男性が落ち着いた声でひとこと、お母さんに声をかけた。お母さんの返事は聞こえなかった。
女性は後ろ姿しか見えなかったが、見ると帽子をかぶってショールをまとい、おしゃれなスカートをはいていた。やや背が低く、年齢は大分ご年配のように見える。
こんな早朝に。おしゃれなパン屋さんに、息子がお母さんを朝食に誘ったのだろう(時々みえているのかな)
面と向かってお母さんに、一日一日を大切にと声をかける息子さんに感動した。手紙なら書きそうだがなかなか日常的な会話としては、身内に使えるだろうか。あらたまって丁寧な言葉かけだ。でも、これはしっかりと、心に沁みる気がする。
一日が大切なのは、だれも同じだ。
しかし、とくにお年寄りは、こんなに1日を大切に生きてる。その家族。ご病気の方。大変な出来事に逢った方も。
他に、私も親戚の結婚式があるが、人生のイベントを目前にした方。
そして、ここ塾では、目前に入試を控えた学生たちがいる。特にそんな究極に大切な日がある。
シュトーレンの話にやっぱり戻ると、その大切な日に向けて、ここからが大事だ。
受験生も毎日一瞬を大切に、この1ヶ月~3か月時間をかけてじっくりと熟成させて、一番ベストな状態になるよう、と思う。
ご家族にとっても大事な時期、みんなで何度となくコミニュケーションをとられると思う。みんなの力をミックスさせて願いを沁みこませ、
最高の味で、最も仕上がりよく終われるように祈っている。